【第18話】やぶれた恋とあきらめた夢の苦い記憶が引き起こすものとは

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私のブログを見にきてくれて、ありがとう。

前回の記事では、元カレから予想外のお願いをされたところまで書いたよね。
覚えてくれてる? もし、予想外のお願いって、何のこと? と思った人は、今までの記事を先に見てね。

 

>>過去記事
第1話【やりたいことを諦めなくちゃいけないのが、大人になるってこと?】
第2話【やりたいことを全部やって、人生を楽しみ尽くす!】
第3話【ママと妻だけやってる私、物足りないって言ったら怒られるかな?】
第4話【自分の持っているキャリアや武器を無駄にしたらもったいない】
第5話【家族こそ、お互いの気持ちを言葉で伝えあわなきゃ分からない】
第6話【自分だけがやりたいことをやるなんて、そんなことできない】
第7話【母と娘から、ひとりの女性同士として向き合うふたりの時間】
第8話【ピンチの時、家族は最強のエネルギー補給基地だから】
第9話【始まったばかりの人生の後半戦、どう生きていくか選びたいの】
第10話【父さん、母さんが見捨てても僕だけはついていくよ】
第11話【俺はぬれ落ち葉なんかにならない!サイコーな第2の人生を送るのさ!!】
第12話【女は子どもかキャリアか、どっちかひとつを選ばなくちゃいけないの?】
第13話【誰もやったことがないのなら、自分がやって道を開拓するしかない】
第14話【親になりたかったら、戦い勝ち取っていくしかないものがある】
第15話【女性が育児と仕事の両立を目指すとき、となりにいて欲しいのは】
第16話【他人の変化や成長を感じときに改めて見つめるべきもの】
代17話【過去にひき戻されそうなとき、とるべき行動とは】

 

初対面のはずのわたしを知っていた、この人の名は……

学生みたいな社長

久しぶりに再会した、元カレのナツヤから、転職した会社で作ろうとしているPR動画に「女優」として出演して欲しい、というあり得ない依頼を受けただけでも、びっくりだったのに……。

その上、突然の闖入者が、その転職先の社長で、しかも、その社長の口から、PR動画への出演依頼を思いついたのが、ナツヤじゃなくて自分なんです、なんて言われた日には……わたしの頭の中はパニックにつぐパニック、パニック祭り状態になっちゃったよ。

「改めまして、ごあいさつさせていただきます。全国にシェアエコノミーを推進する会社、シェアフューチャーの代表を務めている、冬木と申します」

Tシャツにチノパン姿の、学生みたいな社長が、これまた学生が持っているようなバックパックから、名刺入れを取り出して、名刺を一枚、わたしの目の前に差し出した。

【㈱シェアフューチャー 代表取締役 冬木アツシ】と書かれた名刺を受け取り、私はあわてて、バッグから自分の名刺入れを取り出した。

「はじめまして。丸地アイと申します」と言いながら、今までの人生で出会った男性の中で、ダントツ年齢不詳な男に、名刺を手渡した。

「アイさん、お時間まだ大丈夫ですか? こちらのお店は、もうそろそろ閉店です。もし差し支えなければ、お店を移動して、ぼくからも詳しくお話させていただきたいのですが」

そう言われて、「大丈夫じゃありません。わたし、帰ります」って言えるほど、固い鉄の心臓してないんですよ、わたしは!

冬木さんに促されるまま、本日2軒目のお店へと向かった。

 

お願いだから、そんなに近づかないでよ

街

マスターにあいさつして、お店を出ると、辺りはもうすっかり暗くなっていた。

「ご案内します」といって、先を歩く冬木さんの背中を見ながら、わたしは、必死に頭の中を整理しようとしていた。

ナツヤが久しぶりに、わたしに連絡をしてきた理由は、よく分かった。つまり、転職先の仕事の依頼ってことだよね?

次に、その転職先の会社の社長が、冬木さんっていう人で、今目の前を歩いている、あの学生風の男だってことも分かった。

そして、ナツヤじゃなくて、冬木さんが、わたしをPR動画に出演させたいと思いついたってことも、分かった……いや、分かんないよ!! なんで? なんで冬木さんが初対面のわたしのことを知ってるわけ? なんで会社の大事なPR動画に、こんなずぶの素人を使おうをしてるわけ??

狭い歩道を並んで歩くナツヤの手が、足の動きに合わせて、わたしの腕に触れる。

頭の中は、冬木さんに対する疑問でいっぱいなのに、こころの中は、ナツヤへの揺れる想いで、いっぱいになっちゃってる。

久しぶりに行った、ふたり行きつけの待ち合わせ場所で、気づいてしまった、「まだ、ナツヤのことが好き」だという、わたしの未練。

なんなんだよ、この男たちは。人の気も知らないで、訳の分かんない話ばっかりしてきて。もう、本当にイヤ!!

おい、この鈍感男、1号! どうでもいいけど、もうちょっと、離れて歩いてよ。せめて、わたしのこころがこれ以上乱されないように……お願いだから。

 

お酒の力を借りて乗り切るのも、大人のたしなみ?!

ビールサーバー

「ここです」

冬木さんが足を止めて、バーらしき店の木の扉を開け、わたしを先に通してくれた。中は、間口の狭さからは想像できないくらい、広い奥行きのある、落ち着いた雰囲気のビアホールだった。

「ナツヤが、アイさんは、ワインよりビール派だって言っていたので、知り合いのバーテンダーに、ビールとつまみがおいしい店を、教えてもらったんです」

そう言いながら、無邪気な笑顔を見せる冬木さんの正面に座る。なんだか、調子狂うな、この人と一緒にいると。今はビールもワインも飲む気になんか、ならないのに。待てよ。ビールでも飲んで、ちょっと酔っぱらったくらいの方が、いいかもしれない、このKYコンビに付き合うには。飲んじゃおう、飲んじゃおう。

わたしは、大好きなカールスバーグの力を借りて、この厄介な依頼の断り文句を、先手必勝とばかりに、鈍感男たちに向かって投げつけた。

「あの、最初に申し上げておきたいんですけど、わたしは女優でもなんでもありません。ただのサラリーマンです。だから、御社のPR動画に出演することは、難しいと思います」

よし! これでOK。

「まあまあ、そんなにあせって答えを出さなくても、いいじゃないですか。せめて、ぼくに、なんでアイさんにお願いしようとしているのか、どのくらいアイさんの協力が必要だと思っているのかだけでも、説明させてください」

ぬぬ。見かけは学生みたいだけど、さすがに、代表取締役を務めるだけはある。簡単には引き下がらないってか。まあいいや、ちょっとでも長くナツヤの顔みていたいし……って、バカバカ! わたしったら、何考えてんの!

「分かりました! とりあえず、お話は聞かせていただきます」

邪念を振り払うように、わたしは勢い込んで、冬木さんに向き直った。

 

勝手にひとの作った動画を見せるなんて、プライバシーの侵害!

映画作り

確かに、わたしは学生時代に映画を作っていた。大学生活の4年間、映画作りのためだけに生きていたといっても、大げさじゃないくらい、のめり込んでいた。勉強もそっちのけで、映画のことばっかり、考えてた。

でも、結局、映像関係の会社に就職できなくて、撮りためた動画は、全部消去。きれいさっぱり諦めた世界なのに、なんでナツヤが持ってるの? あの時の動画を。

「アイ、もしかして忘れてる? 俺に『映画を作るにはお金が必要だ。わたし達がどれくらい真剣に映画作りしているか、訴える動画を作ったから、これを企業に売り込む手伝いをしてくれ』って、動画のコピーを持ってきたこと?」

そうだ。あのとき、ナツヤにも泣きついて頼んだんだった、企業への売り込みを。でも、最終的に、どの会社からも断られて、1円も融資してもらえなかったんだよね。あのときの敗北感、今でも思い出すと胸が痛い。

「まだ、持ってたの、そんなもの? しかも、なんでそれを、冬木さんに見せたりしたの?」

わたしは何だか、自分でも貼ったことを忘れていた、すり傷のばんそうこうを無理矢理はがされたような不快さを感じて、ナツヤをにらみつけた。

「いや、だって。会社でシェアエコノミー推進のPR動画を作るけど、何かいい案はないかって、社長に言われて。そのとき、真っ先に思い出したのが、アイの動画だったんだ。それで……」

「それでって何? ひとが作った動画を勝手に第三者にみせるなんて、プライバシーの侵害じゃないの?!」

やばい。わたし酔っぱらってるみたい。自分でも支離滅裂なこと言ってるって分かってるのに、口が勝手に動いて止まらない。そもそも売り込むために作って、「できるだけ多くの人に見せてくれ」って頼んだ動画じゃん。それをプライバシー侵害って……どうかしてる、わたし。

 

元カレからの誘いは災いの元?!

わたしとナツヤの間に割って入るように、冬木さんが、両手を広げて立ち上がった。

「ちょっと、ちょっと、ストップ! アイさん、こちらの認識不足で不愉快な思いをさせて、本当に申し訳ない。これは完全にぼくのミスです。ナツヤに確認しませんでした、動画公開の許可を得ているかどうかを。」

そう言うやいなや、冬木さんはわたしに向かって、深々と頭を下げた。

「やめてください! 頭を上げてください。困ります、そんなことされたら」

あわてて、わたしも立ち上がった、はずが……勢い余ってか、ビールのせいかわからないけど、足が滑って転んだ。転んだ拍子に、久しぶりにナツヤに会うからと思って、選んだスカートのすそがまくれあがって、パンツが丸見えに。

しかも、持ってたグラスも落としちゃって、スカートはビールでびっしょり。

なんなのこれ? いったい、なにがどうなったら、こんなことになっちゃうわけ?

わたしはただ、元カレのからの久しぶりの誘いに、戸惑いながらもうれしくて……めっちゃうれしくて、おしゃれして来ただけなのに。なんなの、このありえない展開は。

神さま、お願いします! これからはもっと、真面目に生きていきます。朝はお母さんに起こされなくても、自分で起きます。宇宙人みたいに理解不可能な、天然系後輩の面倒もちゃんとみます。だから……だから、今すぐ時計の針を、ナツヤから連絡をもらった日まで戻してください!

もしもう一度、あの日からやり直せるなら、ぜったいに断ります、元カレからの誘いは。

元カレからの誘いは、災いの元。

人生の大切な教訓、痛いほど身にしみました……。

 

~元カレとその上司の前で、大失態を演じてしまった、主人公アイ。全ては元カレを忘れられない女ごころと、昔の夢を思い出した乙女ごころが原因か。この後、どうする?~

★ 丸地家のマルチライフストーリーについて ★
主人公の丸地あいとその家族が、人生に起こる様々な出来事にマルチライフ的方法論で立ち向かっていく物語です。
あいやその家族は特別な存在ではなく、きっとあなたのまわりにいる人や、あなた自身と重なる存在ではないでしょか。
一緒に丸地家のマルチライフストーリーを見守って頂けたら嬉しいです。

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マルチライファー’s CLUB 0期メンバーで、スイーツと短歌をこよなく愛する。ことばのパティシエ ☆YUKO でした。

​精神科医。三児(1歳、3歳、5歳)の母。
マルチライフプロジェクト代表。

大学在学中、20歳で会社設立し塾・飲食店を経営。女性のライフイベントとキャリアの両立を実現するため、28歳で医学部を受験。経営者から医学生へ転身。8歳年下の同級生と結婚し3人のママになる。33才で医師免許取得。現在は精神科医として働きながら、「やりたいこと全部やって人生を楽しみ尽くす」をコンセプトにマルチライフプロジェクトを主宰。現実的かつ具体的手法で女性を自己実現に導く講座は、毎回即満席。

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